展覧会「静謐な光、游泳のかたち」 – FESCH.TV
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【コンセプト】日々激化する情報戦のなかで、誰からも侵されることなく自立した状態を保ちながら思考を続けることは可能なのか。この問いを起点に、本展では国内外からアーティストが集まり、多様なメディアを用いてユートピアとディストピアのイメージを共存させ、曖昧な世界の実態への理解を深め、アティチュードの再思考を目指す。
本展の会場となるのは、東京・渋谷の奥地にある「Sta.」のギャラリースペース。暗転した空間に、来場者の五感を刺激する作品をランダムに配置し、情報の遮断が困難な嗅覚・聴覚に対するアプローチは、サウンドアーティストのSaskiaが担当。またイギリス・ブリストル在住のプロデューサー、Larry McCarthyとコラボレーションし、複数のスピーカーを用いて時間軸の違う二者のアートピースをコラージュすることで、物事はつねに変化し続け、一瞬たりとも同一の空間は存在し得ないことを表現。そこへ鎮静作用のあるアロマを組み合わせ、静寂ながらもポジティブなイメージを自由に生み出せるユートピア的空間をデザインする。
いっぽう、現代社会において人々への影響が五感のなかでもっとも大きいとされる視覚的表現には、美術家・文筆家の肥髙茉実によるインスタレーション作品を起用。波のようにうねる鉄のオブジェに、現代社会の課題であるジェンダーやナショナリティの要素をフラットな状態で取り入れ、湖に浮かぶボートのように空間に点在させる。そしてそこへ照明ディレクターの佐藤円が灯をともし、世界の暗がりに潜む憂鬱な影を浮かび上がらせることで、私たちが無意識下で黙認してきた事実と対面する行為ともなりうる場をつくる。
目を閉じれば瞑想のように身を安心できる場所へと自ら誘うことができ、目を開ければ現実が降りかかってくる。本展はそういった二元論的な状況を創出し、不完全な歴史や情報との距離が、コントロールがおよばない存在であると同時に自らのコントロールによって存在しているという矛盾を示す。
様々な境界線や矛盾のあいだを泳ぐような感覚によって、それまでの不自由を自覚していく経験は、社会や他者との関係修復のための新たな視座を与え、それぞれが人生への新しい態度を考える機会となるだろう。4名のアーティストによる本展は、私たちの眠りかけていた身体感覚を再発見し、その感覚に慣れるためのトレーニングの場となることを望んでいる。
【参加アーティスト】
Saskia|テクノを軸にレフトフィールドなエレクトロニックサウンドをフィーチャーするパーティー「broad」や「解体新書」、ライゾマティクス主催の「Super Flying Tokyo 2019」、電子音楽×デジタルアートの祭典「MUTEK.JP 2019」などにライブアクトとして出演。また、7年に渡る編集者・ライターとしての経験をもとに、言語がヒトにもたらす影響を音としてのパースペクティブも加えながら独自に解釈しようとしている。
Larry McCarthy|イギリス・ブリストル在住のプロデューサー/アーティスト/DJ。2018年にデビューアルバム「Sonder Somatic」をHessle Audioから発表する他、Idle Hands、Livity Sound、TimedanceなどUKテクノを代表するレーベルよりBruce名義にて作品をリリース。ダンスミュージックとメンタルヘルスの関連性についてのトークショーなどにも参加している。
肥髙茉実 Mami Hidaka|美術家、文筆家。2018年多摩美術大学絵画学科油画専攻卒業。同年よりウェブ版『美術手帖』コントリビューター。そのほ か『BRUTUS』『THE FASHION POST』『i-D』などで執筆中。『She is』エッセイ連載(初回11月)。
佐藤円 Hitoshi Sato|照明ディレクター。音楽を伴う空間での光のデザインを軸にインスタレーション、ダンス、写真/映像など多様なシーンのアー ティスト作品に携わっている。
「静謐な光、游泳のかたち」
日時:2020年11月10日(火)〜17日(火)
開場時間:14:00~23:00
会場:Sta. 1Fギャラリー
住所:〒150-0044 東京都渋谷区円山町11-7
入場:無料
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